
月刊OPTRONICS
![]() |
光技術関連業界の最新情報が満載の月刊OPTRONICS。 技術者,研究者の方はもちろん,光に携わる方は是非ご購読ください! |
2011.12 vol.30 No.360 |
注目!! メタマテリアル
メタマテリアル
(独)理化学研究所 田中 拓男
光メタマテリアル
(独)物質・材料研究機構 岩長 祐伸,宮崎 英樹,杉本 喜正,迫田 和彰
テラヘルツ波メタマテリアル
大阪大学 萩行正憲,高野恵介
マイクロ波メタマテリアル
山口大学 真田 篤志
誘電体共振器を用いた3次元積層型右手/左手系複合メタマテリアル
京都工芸繊維大学 上田 哲也/カリフォルニア大学ロサンゼルス校 伊藤龍男
スピン波メタマテリアル
奈良先端科学技術大学院大学 冨田 知志
フラクタル構造のメタマテリアル
信州大学 宮丸 文章,武田 三男
光通信用レーザの最新動向
?日立製作所 有本 英生,篠田 和典,斎藤 慎一,牧野 茂樹,鈴木 崇功
今年も緑色レーザから目が離せない! InGaN系面発光レーザ及び量子ドットレーザ発振
名古屋大学 天野 浩
加工用レーザ発振器の最近の話題
(有)パラダイムレーザーリサーチ 鷲尾 邦彦
発明・特許のこぼれ話 第48回 使い捨てカイロ
鴫原 正義
12月に入り,寒い日が続くこの時期から使い捨てカイロの売れ行きが急激に伸びるようです。1991年に日本カイロ工業会が需要のピークを迎える月の始めの12月1日を“カイロの日”と制定しています。同工業会のホームページを見ると,現在の使い切りタイプのカイロが生まれたのが1978年と記載されているのですが,実はもう少し前にも市場に出ていたようです。今回は,寒い時期の必需品ともなっている使い捨てカイロについて考えてみましょう。
カイロとは「懐炉」の字の如く,懐の中に入れて暖をとるもので,古くは歴史書「大鏡」に“焼き石のように御身に当てて持ち給う…”と書かれている通り平安時代から石を熱して暖を取っていたようで,江戸時代には温石(おんじゃく)とも呼ばれていました。1690年前後の江戸元禄初期に保温力の強い植物の茎の灰を金属容器の中で燃焼させる「懐炉」が発明され,明治時代になると麻殻や桐灰などに助燃剤を加え袋に詰めた懐炉灰が広く使われます。・・・(続きは本誌で)
USA Today 第42回 フェイスブック社,大移転!
Optomarketing USA 中島和宏
米国フェイスブック社の本社移転が着々と進んでいる。同社のマーク・ザッカーバーグCEOが,2004年にハーバード大学の寮部屋から始めた同社は,シリコンバレーに移って急成長を遂げた後も,本社の住まいはいずれも「借家」であった。今回の大移転で,いよいよ「持家」となる。
場所は,シリコンバレーの中心地サンタクララ市からやや北方に位置するメンロパーク市。現在の本社がある,スタンフォード大学のお膝元パロアルト市から目と鼻の先程度のところで,元は米国サン・マイクロシステムズ社のキャンパスであった。
サン・マイクロシステムズ社は,その名の由来「Stanford University Network」の通りシリコンバレーから世界企業へと飛躍した企業だ。・・・(続きは本誌で)
光通信技術の基礎 −原点を見直し,将来を考える− 第12回 石英ガラス平面光波回路:研究開発の歴史と最新の研究状況
日本電信電話(株) 高橋 浩
平面光波回路と聞いて何を思い浮かべるだろうか? 多数のトランジスタを集積した半導体集積回路の光版を想像される人も少なからずいらっしゃるかも知れない。1960年の固体(ルビー)レーザや1962年の半導体(GaAs)レーザの発振報告,1966年のC. K. Kaoのファイバを用いた光伝送の可能性示唆からほどなく,しかも半導体レーザのCW発振,低損失石英光ファイバ登場よりも前の1969年にBell研究所のS. E. Millerが光導波路を用いた光素子の集積化1)の提案をしていることからも,誰しもそう考えるのは当然である。しかしながら,実際には趣が異なる。半導体集積回路との決定的な違いは,素子のサイズである。特殊な例を除けば光素子は波長よりも大きく,また,トランジスタのように加工の微細化により特性が向上するものでもない。・・・(続きは本誌で)
光技術の研究開発・特許動向II/技術別に見る最新情報 第168回 太陽電池用発電装置
嶋本国際特許事務所 嶋本 久寿弥太
太陽電池セル・モジュールの出荷量は順調な伸びを見せており,国内出荷量は住宅を中心に伸び,外国向けでは米国市場が急伸している。しかし,多様な製品の中には綻びを見せるものもあり,太陽電池の種類別に見ても多彩な技術課題が浮かび上がっている。
太陽電池用の発電装置で特許出願を検索すると,5年間に1,000件を軽く上回り,1,011件に達し,製品分野別に見ても太陽電池パネルの温度上昇低減措置などの共通課題のものや,個別課題のものが幅広く提案されている。
太陽電池には,単結晶シリコン太陽電池,多結晶シリコン太陽電池,薄膜シリコン太陽電池,アモルファスシリコン太陽電池などのほか,CIS系太陽電池,CIGS系太陽電池,HIT太陽電池,CdTe太陽電池,色素増感太陽電池,多接合太陽電池,有機薄膜太陽電池,集光型太陽電池などがあり,さらに新型太陽電池の開発も相次いでいる。シリコン系ではシリコンの薄膜化,モジュールの長寿命化と量産化,耐劣化材料,変換効率向上のセルの開発などが緊急の研究開発課題となっている。・・・(続きは本誌で)
中小型FPDは高精細化が進展!―関連FPD製造装置の需要増にも期待が高まる―
ディスプレイサーチによると,2011年における中小型FPD市場は台数ベースで対前年比9%の20億7,259万6,000台,金額ベースで同39%の302億7,900万ドルと予測している。アプリケーション別では市場の大半を占める携帯電話メインディスプレイ向けが同14%の15億4,185万4,000台になる見通しで,その伸長を先導するのは,スマートフォンだ。また,特に大きな伸び率を示しているのがモバイルPCで,同357%の1,910万5,000台に達するとしている(表1)。これはタブレットPC需要の拡大が起因するものと言えるだろう。
中小型FPDはアプリケーションの裾野が広く,それぞれ独自の市場を形成しているが,中でも今後はスマートフォンやタブレットPC向けFPDが市場を牽引していくものと考えられている。
中小型FPDはスマートフォンやタブレットPCの登場によって,より高い表示性能が求められるようになり,その開発トレンドはHVGA(320×480)以上の高精細化と大画面化へと加速している。こうしたハイスペックなFPDは価格面でアドバンテージを持てる可能性があることから,収益確保という面からもメーカ各社は中小型FPDビジネスの強化を図っている。・・・(続きは本誌で)
NEWS FLASH
▼富士通研究所と古河電工,50 Tb/sを実現する光インターコネクト技術を開発
▼NTT Com,デジタルコヒーレント通信による100Gb/s光海底通信に成功
▼ウシオ電機,EUV光源の中間集光点出力30 Wを達成
▼JSRとSEMATECH,化学増幅型EUV向けレジストとして15 nmパターン解像に成功
▼パナソニック,テレビ事業改善策を発表
▼ソニー,テレビ事業の収益改善プランを発表
▼凸版印刷とPDI,モノカラー電子ペーパーを開発
▼ショット日本,ディスプレイ用カバーガラスの国内販売を開始
▼シャープ,化合物3接合型太陽電池セルで36.9%の変換効率を達成
▼世界ソーラーカーレースで,東海大チームが優勝
▼東芝ライテック,全光束1,000 lmのLED電球を発売へ
▼シチズン電子,17,675 lmの照明用LEDを開発
▼光部品製販会社のOPT-i設立
▼日本レーザー,PicoQuant社と販売提携へ
▼グリーンテック,中国上海に太陽光発電事業を手掛ける事務所を開設
▼レーザー学会,第4回産業賞の募集を開始
▼赤崎勇名城大学教授,2011年度文化勲章を受章
▼2011年秋の叙勲 紫綬褒章に石川正俊東大教授と,小柳光正東北大教授が受章
MARKET WATCH
▼2011年マルチモード光ファイバコネクタが世界における消費量の6割を占める見通し
▼2011年のPLCスプリッタ世界市場は通信アプリケーション向けが拡大
▼NanoMarkets,OLED照明量産化に向けてはさらなる投資が必要と指摘
▼2015年のBDプレーヤ出荷台数は1億500万台に
▼集光型太陽光発電市場,2017年までに1,759億ドル規模へ
▼欧米における2015年内視鏡市場は25億ドルへ
▼フロントプロジェクタ市場,2015年には900万台超に
▼2011年ディスプレイ世界市場は前年比5.1%減の9兆3,430億円
▼発光ダイオード輸出数量,22ヶ月連続のプラス
▼太陽電池モジュールの生産実績,29ヶ月連続のプラス
▼民生用電子機器国内出荷金額,対前年同月比58.0%の1,923億円
CALENDAR
EVENTS
▼超解像国際シンポジウム「Super Imaging2011」
▼日本光学会 第38回冬期講習会「さまざまな分野における光散乱 - 基礎から応用まで - 」
▼第9回レーザーディスプレイ技術研究会 〜ディスプレイにおける質の変化,次元の変化 - スマートレーザーディスプレイで描く未来〜
▼募集:1st OPTICS&PHOTONICS International Congress 2012(OPIC2012)
PRODUCTS INFORMATION
長い間,有り難うございました。
自然界に負の屈折率を持つ物質は存在しません。もし負の屈折率物質があったなら,いくらでも小さなものが見える「完全レンズ」が実現できる。メタマテリアルの研究は,物質の透磁率を人工的に操作して負の屈折率材料を作ろうという試みから始まりました。
しかしメタマテリアルの本質は,負の屈折率材料を作るだけのものというではなく,自然に存在する物質の限界を超え人工的に導入した構造によって透磁率や誘電率を操作するという,より広い概念を持つものです。研究は光だけでなく,マイクロ波からミリ波まで横断して進められており,原理や形態の違い,金属や誘電体,磁性体を用いたものなど,利用する材料も多岐に渡っています。
光分野のメタマテリアル研究は,これまで欧米のチームによって先導されてきたと言われますが,我が国でも最近,研究プロジェクトが立ち上がりました。その進展に期待したいと思います。特集を企画していただいた理化学研究所の田中拓男准主任研究員,ならびに最新の研究成果をご紹介いただいたご執筆者の皆様,お忙しい中を有り難うございました。
野田総理が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向け関係国との協議に入ると表明しました。国論は分かれているようです。参加するかどうかを決めるために各国と協議する,といった回りくどい表現になっているのは慎重派への配慮らしいですが,そんな覚悟で大丈夫でしょうか。
TPP参加が結果として我が国にとってプラスになるのか,マイナスになるのか,正直なところは分かりませんが,司馬遼太郎氏の小説「坂の上の雲」にも出てくるように,明治維新の後,日本はその存在をかけて帝国主義という嵐の吹き荒れる外洋にあえて飛び出して行きました。この時代は食うか食われるかでしたが,少なくとも日本は食われる立場になることを良しとはしませんでした。これを批判する人もいますが,理想論で何とかなければ,こんな楽な事はありません。動物も植物も,生きとし生けるものを食べるのは慈悲の心に反するというのは,誠に美しい生き方かもしれませんが,自分の子供には何を食べさせるというのでしょう。
幸い日本には,アジア,アフリカを次々と植民地にしてきた列強との熾烈な外交交渉を担当した陸奥宗光や小村寿太郎といった腹の据わった政治家がいました。TTPは仲良し倶楽部ではないでしょうから,今後の交渉には丁々発止のしたたかさが求められるでしょう。今の政府にそれができるかどうか,そこが問題です。
月刊オプトロニクスも今月号で創刊360号を迎えることができました。来年には30周年を迎えます。この間,光技術・産業に関わる大学,研究機関,団体,企業の皆様方には,様々なかたちでご尽力を賜り,誠に有り難うございました。
さて,私事で恐縮ですが,今月号を持って月刊オプトロニクスの編集長の立場を離れることとなりました。25年余りを本誌の編集とともに歩んで参りましたが,当初何の知識もない(今も大して進歩していないのですが)若輩者の私を辛抱強くご指導いただいた多くの方々に,改めて感謝申し上げます。本当に有り難うございました。
後任は三島滋弘が担当させていただきます。とは言いつつ,今後は編集企画局長という立場で月刊オプトロニクスの編集を含めた業務に携わって行くと思いますので,引き続きよろしくお願い申し上げます。皆様方のご活躍,これからもお祈り申し上げております。
編集長 川尻 多加志
次世代固体照明として期待される有機EL照明(仮)
▼総論-パナソニック電工における有機EL照明の研究・開発‥‥パナソニック電工(株) 菰田 卓哉
▼コニカミノルタにおける有機EL照明の研究・開発‥‥ニカミノルタテクノロジーセンター(株) 岩崎 利彦
▼NECライティングにおける有機EL照明の研究・開発‥‥NECライティング(株) 川島 康貴
(都合により,内容に変更のある場合があります。)